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2010/11/25

【或るクマタカの災難】

このクマタカ、元々は、白山山系の隣の山系にいた個体でした。2008年秋の杉の木の伐採により行方不明になり、関係者がその行方を捜していた個体です。
                「クマタカ個体A」
              撮影:2009年12月1日kumataka-aki1.jpg

その後、2009年5月、付近の上空にいるのを発見。撮影には失敗。その飛翔コースから隣接する白山山系低山地帯の別のクマタカのエリアに侵入しているのを予測して、相当熱心に探したのですが見つからず、あきらめて、同年12月、白山山系中腹深くの別のクマタカの様子を見に行ったときに発見、撮影した画像です。私には全く見えず同行していた妻が発見、レンズの中に入れて貰って撮影。当初は、探していた個体とは判らなかったのですが、飛び上がった時に初めて判り撮影したのが上の画像です。
    「クマタカ個体A」、大木の中にひっそりと佇んでいた
kumataka-ki.jpg

このとき山腹の対極(右と左の形)にいたのが、本来そのエリアにいる個体、下の画像です。傷一つ無い成鳥の個体。「クマタカ個体B」
kumataka-aki2.jpg

この時、一緒にいる筈の若いクマタカの姿は無く、奇異な事に、両者の間では葛藤競合関係の行動は全く見られず、むしろ侵入してきた人間に向かって、両者共が交互に突進してくるという行動を見せた。この行動の背景が一体何であったのか?何時も気になっていた。

   きびすを返すように引き返したときの「クマタカ個体B」の画像
「クマタカ個体A」は、頭上10メータほどの距離を通過、Uターンして行くという凄さ。レンズが長すぎて捉えることが出来なかった。妻は悲鳴を上げていた。
kumataka-batku.jpg

  この時、留守にしていた若い方のクマタカ。「クマタカ個体C」
            撮影:2008.12.1kumataka-waka.jpg
 
この時の「クマタカ個体A」と「B」の行動が異常であったので、「何かある!」と感じ慌てゝこの場を離れ、その奧に拠点を構えるイヌワシのエリアに移動。イヌワシの出番を待っていると、何と!私たちの後をつけてきたかのように、「クマタカ個体A」が、又、現れたのです。
               その時の飛び回る様子
kumataka-inwa.jpg

               同じく、「クマタカ個体A」
kumataka-aki3.jpg

この時の位置は、下の画像「イヌワシ個体A」の直下50~60メータほどの位置だったでしょう
                 「イヌワシ個体A」
この個体、出てきても何時も真っ黒。なかなか素顔のアップを撮らしてくれない。inuwasi-aki.jpg
   
その後、「この場所はそっとしておくことが一番」と積雪時期の悪条件もあって、ほぼ1年、この地域への出入りを止め、この11月に入っての観察で、出てきたのは上の「イヌワシ個体A」のツガイと、当時、留守にしていた「クマタカ個体C」の2年間の成長した姿…?と、「クマタカ個体B」と思われる姿だけ…。
        「クマタカ個体C」?撮影:2010年11月6日kumataka-11.jpg
   その間に、右側翼下面に傷を負った「クマタカ個体B」と見られる個体
               撮影:2010年11月21日
kumataka16.jpg
  大きく傷ついたその躰で、石川県の最北端から白山山系の中央最深部にまで侵入して来ていた「クマタカ個体A」の行動力とその生命力。きっと何処かにいるに違いない…と思うのだが…。侵入してきたその場所は、この個体の生まれ故郷であったかも?…と思いながら…
 この時の「クマタカ個体A」と「B」の行動の背景に理解が行かかった事と、変異個体や傷ついた個体写真を嫌う人達もいるので、これまで公開をためらってきましたが、「クマタカ個体A」の行動は、人間の行為によって引き起こされた事件。特異なケースとはいえ、何時までも伏せておくことばかりが能ではないだろうと考え、公開することにしました。